お正月。。。だれでも知っています。
でも、「何となく」とか「当たり前に過ぎていく行事だから」などと「本当は良くは知らない」という方もいるのでは?
お正月の意味やしきたりについて、ザックリ説明します。
正月とは
新正月・旧正月
よく聞かれる言葉に、新正月と旧正月があります。
暦には、月の満ち欠けで暦を定めた太陰暦と、太陽の動きで暦を定めた太陽暦があります。
明治維新後、政府が太陰暦を太陽暦に変え、新暦(太陽暦)がスタンダードになりました。
新正月とは太陽暦の1月1日を元旦としています。
旧正月とは、太陰暦の1月1日です。
太陰暦は新月の日が毎月1日となるため、閏月があり、一定しません。
2021年では新暦の2月12日が旧暦の1月1日(旧正月)となりますが、2022年では2月1日が旧正月です。
旧正月で祝う地域もありますが、今ではお正月と言えば新正月がスタンダードです。
元旦と元日はどう違う?
元日は1月1日のことです。
元旦とは、元日の朝(午前中)のことを言います。
「旦」という字は、太陽を表す「日」と地平線を表す「一」から成り立っている意味です。
年賀状で「元旦」と書くことが多いのは、基本的に午前中配達されるからです。
この頃は、深い意味なく「元旦」や「元日」が年賀状の締めに使う決まり文句のように使われることが常態化しています。
というわけで、松の内までに届くものであれば、「元旦」や「元日」と書くことが多くなっています。
三が日とは
1月1、2、3日のことです。
1日 (元日) は年の初めを祝う日として国民の祝日に定められています。
一般家庭では三が日は年頭の祝いとして屠蘇を振る舞い雑煮やおせちを食べる風習があります。
1日が国民の祝日とはなっていますが、官公庁や一般企業などは三が日を休日としているのが一般的です。
松の内とは
松の内とは、正月飾りの一種である松飾りを飾っておく期間の事を言います。
松飾りとは門松のことですが、門松は歳神様が道に迷う事なく家に来るための目印とも、家に年神様の滞在を示す印とも言われています。
現代においては一般的に1月7日までを示しますが、地域によって異なる様です。
15日のところもあれば10日という場合もあります。
元々、松の内は小正月である15日とされていました。
徳川家光が4月20日に亡くなった事により、20日という日を忌み嫌うようになった徳川幕府が、20日よりも前の11日に鏡開きを行う事にしたため、関東地方を中心とした地域では、松の内が7日と変更されたのが通説です。
幕府の影響をそれほど受けなかった関西地方では今も元からの15日を松の内とする地域が多いということです。
鏡開きとは
鏡開き(かがみびらき)は、お正月に、神仏にお供えした鏡餅を下げて食べることを言います。
神仏に感謝し、無病息災などを祈って、供えられた餅を頂きます。
汁粉や雑煮、かき餅(あられ)などにしていただくのが一般的です。
包丁で切ってはいけません。
切腹を連想させるため、手や木鎚で割り、「切る」「割る」という言葉を避けて「開く」という言葉を使用するのです。
鏡は円満を、開くは末広がりを意味するそうです。
関東を中心にした地域では、松の内(1月7日)が終わったあとの1月11日に行われます。
松の内が1月15日の地方では、16日以降に鏡開きが行われます。
その場合は1月20日(二十日正月)に行われることが多いようです。
正月のしきたり
門松、松飾りとは
門松(かどまつ)は、正月に家の門の前などに立てられる松や竹を用いた正月飾りのことです。
松飾り、飾り松、立て松とも言います。
その昔、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、門松は年神様を家に迎え入れるための依り代という意味合いがあります。
「松は千歳を契り、竹は万代を契る」と言われ、松と竹で作ります。
年神はこの門松を目印に降臨してくると言われるのです。
門松を片付けることを、松下ろし、松あがり、松払い、松引き、松送り、松納め、などといいます。
今では、門松の代わりに簡単な松飾りを用いるケースや、お正月リースのように松竹と関係のない飾り物も出ています。
時代を感じますね。
鏡餅
日本では古来から餅を神仏に備える風習がありました。
穀物神の「年神」様への供え物であり、「年神」様へのの依り代の意味もありました。
なぜ、鏡餅というかと言いますと、神事に用いられる昔の青銅製の丸い形の鏡に似ていたからです。
丸い餅を使います。
鏡餅は、一般的には、大小2つの平たい球状の餅とダイダイが使用されます。
地域によっては違いがありまた、ダイダイの入手が難しい場合にはミカンで代用することがあります。
正式には、三方に半紙を敷き、その上に裏白(ギザギザのシダのような葉)を載せます。
大小2つの餅を重ね、その上に串柿・干しするめ・橙・昆布などを飾ります。
鏡餅の飾り方には地域によって様々ですが、この頃は後で食べることを考え、鏡餅が重なった姿を型取ったプラスチック(ポリエチレン)の容器に充填した餅や、同様の容器に(個別包装された)小さな餅を多数入れ、プラスチック製の橙などとセットにした商品が多く見られます。
昔はもっと寒かったのでしょうが、昨今の暖房のある部屋ではカビてしまい、鏡開きができないことがあるためと思われます。
上のサトウの切り餅は、大きな鏡餅の中に、すぐに食べられるように小さな丸餅が何個も入っています。
良く考えてあると思います。
神仏に捧げるので、鏡餅を飾る場所は、床の間です。
床の間が無い場合は、玄関から遠い奥まった位置に置くのが良いとされています。
お屠蘇、お神酒
お屠蘇とは何か、御神酒とは何か、お屠蘇の作り方や飲み方についてお話します。
お屠蘇とは
お屠蘇とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む縁起物のお酒のことです。
正月にお屠蘇を頂く風習は、もとは中国の唐の時代からだったようですが、現在では中国にそのような風習はありません。
日本では平安時代の歌人である、紀貫之の土佐日記に書かれてあることから、平安時代には風習があったとされています。
数種の薬草を組み合わせた屠蘇散(とそさん)を赤酒・日本酒・みりんなどに浸し、家庭で作ります。
お屠蘇は、通常、屠蘇器(とそき)と呼ばれる酒器セットによっていただきます。
御神酒(おみき)とは
お屠蘇が家庭の邪気を払う目的で作るのに対し、神酒(みき、しんしゅ)とは、日本の神道において神様に供えるお酒を言います。
昨今は、神棚のないご家庭が多いかと思いますが、日本は神仏習合で、仏壇とともに神棚があるのが一般的でした。
正月ともなると、神棚にお供えをするのですが、その時供えるお酒が御神酒です。
祭礼後に頂きます。
神に供えられ霊が宿った酒を頂く、また他の神饌(しんせん、神様に差し出す食事)と同様の神と同じものを飲食するという意味が込められています。
神棚がないご家庭でも、正月ともなると鏡餅を飾って、神様をお迎えすることが多いかと思います。
そのそばに御神酒を置き、神様に飲んでいただくと良いですね。
屠蘇器とは
お屠蘇は風習として屠蘇器でいただきます。
屠蘇器は、屠蘇散と日本酒・みりんを入れる銚子(ちょうし)、屠蘇を注ぐ盃、重ねた盃をのせる盃台、これらを載せる盆からなり、これがワンセットとなっています。
屠蘇器には、漆器製、陶磁器製、ガラス製など様々な種類がありますが、主流は漆器製です。
木製の本漆塗りともなるとかなりお高めですが、昨今は樹脂製本体に漆塗りで仕上げたものが多く、リーズナブルな価格で手に入ります。
盃は、大中小の3個になっています。
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地方なら小さな家を一軒買えるお値段ですが、純金なので投資と考えると悪くないですね。
お屠蘇作り方
屠蘇散を用意します。
画像は特製お屠蘇 1袋1パックです。
屠蘇散の中身は、現在では山椒・細辛・防風・肉桂・乾姜・白朮・桔梗などを用いるのが一般的です。
時代や地域などによって少しの違いがある様です。
日本酒・みりんなどをコップなどの容器に注ぎます。
袋に入った屠蘇散を大晦日の夜に浸けると元旦に出来上がります。
時間にして3~5時間浸けると良いようです。
生薬が原料で独特の香りと味がします。
好みによって酒類や砂糖などの甘味を調製しても良いです。
元旦に出来上がった屠蘇を屠蘇器に移していただきます。
お銚子には、年神様の目印となるように、水引や正月飾りなどを付けておきます。
お屠蘇飲み方
元日の朝、年少の者から年長の者への順に頂きます。
小・中・大の三種の盃を用いて飲むのですが、「一人これを呑めば一家病(やまい)無く、一家これを呑めば一里病無し」と言われています。
1.元旦に家族がそろったら新年のあいさつを交わします。
2.おせちやお雑煮を食べる前に、お屠蘇をいただきます。
3.まずは、最年長者が小盃を持った最年少者にお屠蘇を注ぎます。
4.最年少者が「一人これを呑めば一家病(やまい)無く、一家これを呑めば一里病無し」と唱えて小盃を飲み干します。
5.最年長者は中盃にお屠蘇を注ぎ、最年少者は飲み干します。
6.同様に大盃にお屠蘇を注ぎ、年少者が飲み干します。
7.最年少者は、次の若年者に3~5の過程を踏んでお屠蘇を振る舞います。
8.順次、年齢の若い方からそれを繰り返し、最後年長者がいただきます。
9.厄年の人がいる場合は、その人が最後になるように調整します。
今では、正式な形で飲むことは少ないかもしれません。
お酒なので運転者が飲んでは困りますから、そのような場合は口をつけるだけにしたり、3杯も飲まずに1杯ずつにしたりと、臨機応変でも良いと思います。
3が日以内の来客が予想される場合は、3日間はお屠蘇を作ります。
来客に一献目をお屠蘇で献じて、無病息災を祈ります。
祝い酒
お祝いの席でいただくように準備する祝い酒。
結婚式だったり、敬老の祝い、誕生日、色々ありますがお正月はまた格別です。
昨今は金箔入りがスタンダードですね。
新年の初会合や行事などでも振舞われることが多いです。
ご自宅ではお祝いなので、少しグレードの高いものがいいと思います。
こちらは、画像にある通り、久保田。。。新潟の銘酒ですね。
会合や行事では、珍しい「金箔入りのイモ焼酎」などはいかが?
話題になって喜ばれそうです。
お雑煮とは
お雑煮とは、一般的に餅の入った汁物のことで、主に正月などハレの日に食べられます。
お雑煮に入れる餅は地域ごとに違いがあり、日本の地方による食習慣の違いを表す例としてよく持ち出されますね。
よく知られているものだけでも、その種類は100を超えるほど多様です。
作り方や具材の違いなど、細かな特徴にまで着目すると、さらに種類は増え、集落の数だけ雑煮の種類があるといわれています。
たとえば、北海道は明治時代に開拓使が置かれ、全国から人々が集まった影響で多種多様な雑煮が食べられています。
また、鹿児島の一部では、雑煮に入れる餅の形については角と丸が混在しています。
沖縄では古来から食べる習慣がなかった様です。
農林水産省のホームページに、お雑煮の文化圏マップが出ていました。
なかなか面白いと思います。
お年玉とは
お年玉とは、新年を祝うために贈られる金品のことです。
現在では、子供に「金銭を与える習慣」や「金銭そのもの」として用いられていますね。
お歳暮とは違い、目上の者が目下の者に贈るのが特徴です。
反対に、目下の者が目上の者に贈る場合はお年賀(御年賀)といいます。
元々は、正月に歳神(年神)様を迎えるために供えられた丸い鏡餅が、家長によって子供に分け与えられ、その餅が「御歳魂(おとしだま)」と呼ばれたことが語源と言われています。
子供の無事な成長を願う、宗教的な意味があったのですね。
初詣とは
初詣とは年が明けてから初めて神社や寺院などに参拝するおなじみの行事です。
一年の感謝を捧げたり、新年の無事と平安を祈願したりします。
元々は「年籠り」(としこもり、としごもり)と言い、家長が祈願のために大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神神社に籠る習慣でした。
やがて年籠りは、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」との2つに分かれ、元日詣が今の初詣の原形となったのです。
社寺へ参拝を行って、社務所でお守り、破魔矢、風車、熊手などを受けたり、絵馬に願い事や目標を書いたりして、今年一年がよい年であるよう祈ります。
昨年のお守りや破魔矢などは、このときに社寺に納めて焼いてもらいます。
また神社によっては境内で甘酒や神酒などが振るまわれますが、コロナウイルスの関係で今回は様変わりした初詣になりそうです。
初詣の人気の初詣神社(2016年)を上げてみます。
順位 | 社寺 | 所在地 | 参拝者数 |
---|---|---|---|
1
|
明治神宮 | 東京 | 約317万人 |
2
|
成田山新勝寺 | 千葉 | 約309万人 |
3
|
川崎大師 | 神奈川 | 約307万人 |
4
|
浅草寺 | 東京 | 約291万人 |
5
|
鶴岡八幡宮 | 神奈川 | 約250万人 |
6
|
住吉大社 | 大阪 | 約239万人 |
7
|
熱田神宮 | 愛知 | 約230万人 |
8
|
氷川神社 | 埼玉 | 約210万人 |
9
|
太宰府天満宮 | 福岡 | 約200万人 |
10
|
生田神社 | 兵庫 | 約150万 |
さすがに2022年の初詣はこのような人数の参拝者は出ないと思います。
初日の出
日本では一年に一度の最初の夜明けで『めでたい』とされ、多くの人々が初日の出参りを行います。
富士山の初日の出登山によるご来光は縁起が良いとして有名ですね。
四方拝という天皇の元旦の儀式が始まりで、それが庶民の間に現在の形で広まり、初日の出を拝むという習慣になったといわれています。
例年天文台には「本土で最も早い初日の出が見られるのはどこか?」という質問が多数寄せられるそうです。
天文台側も50箇所から60箇所の初日の出スポットの時刻計算リストを出しているということで、関心の深さを物語りますね。
喪中の場合の正月
喪に服している場合は正月を行わない風習があります。
この場合、事前に喪中欠礼の葉書を送ります。
それにより、年賀状を送ったり受けたりすることもなくなりますし、年始の挨拶も受けません。
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